『魅惑の霧島』第八回【霧島とジェームズ・ボンド】
本項を書くにあたり、いろいろ下調べする中で、気になるものがありました。映画「007」シリーズの『007は二度死ぬ』(1967年公開)が、霧島でロケをしたと言うものです。
(霧島だけではなかったのですが)
そういえば、かなり前にテレビの映画番組で、初代ジェームズ・ボンド(ショーン・コネリー)の日本を舞台にした話を見た記憶があったのです。ボンドガールに浜美枝さんが出ていたことも。
早速、「二度死ぬ」のBlu-rayソフトをAマゾンで購入。ワクワクしながら鑑賞。ところが……。
公開当時、欧米人の日本の認識度は相当低かったんですかね。
『007』自体が架空の設定とはいえ、髪を島田に結った女性マッサージ師がいたり、トヨタ2000GTで銃を撃ちながら街を走り回ったりと結構笑えます。
今どきのハリウッド映画だと、日本が出てくる場合、かなりリアルに街並みを再現されている事が多いので、それとのギャップがありすぎますね。
さて、劇中に霧島らしいところが出てきますが、それを「霧島」と紹介されてはいませんでした。
使われているのは、おそらく霧島連山の大浪池方向から韓国岳を望むあたり。そこが劇中で「島」と呼ばれる悪役たちの潜む場所です。
島のカルデラ湖地下にはロケット基地があり、発射時だけ湖面が開くので日本国政府でさえその存在に気付かなかったという設定。
湖面を精巧に再現した金属のハリボテがスライドして開閉するのです(笑)。
年上の知人女性にこの話をしたら、「そんなところを気にするな、初期の『007』はショーン・コネリーのセクシーさを楽しむ映画だ」と怒られました。納得。
しかし、霧島の雄大さや神秘さは画面を通しても十分に感じられます。ロケ地の一つに選ばれたのも、古今東西、国内外の人にとって特別な場所だからなんだなとつくづく思った次第です。